クラインガルテンは「滞在型市民農園」のことです
ドイツでの利用者数は50万人を超えているそう。野菜や果樹、草花が育てることが出来るだけでなく、過ごせて泊まれる小屋(ラウベ laube )が必ず設けられているのが最大の魅力。1区画の平均面積は100坪(330平方メートル)程度と広い!賃借期間は30年と長い!
休日や長いバカンスシーズンをここで過ごす人も多いようです。
クラインガルテンでは観光地巡りでは知り得ない、現地の人たちの暮らしに触れることができます。
クラインガルテンの全景と魅力
今回訪れたクラインガルテンは、シュツットガルトにある自然豊かな公園の中にありました。公園といっても、それはもう森と呼べるボリュームなのですが。
森の中のクラインガルテンのエリアにいくと大きな木は無く、菜園ができるように日当たり良く開けています。
基本的に自分のエリアまで車を入れることは出来ません。クラインガルテンの入り口に駐車場があって、そこからは徒歩です。
日本の市民農園との違い
日本の市民農園との違いもあります
・小屋を建てて泊まることができる
・樹木を植えていい
日本の市民農園の多くは1年契約で返すときには更地にしなくてなりません。根付いてずっとそこで生き続ける樹木系の植物を育てることは難しいのです。
クラインガルテンではエディブルガーデンを育てている人が多く、実のなる木は重要な存在です。
庭で過ごすとなると、木陰もないと快適ではいられない。庭に樹木は必須なのです。
個性豊かな庭が並ぶ
クラインガルテンの敷地は、全て同じくらいの広さで区切られています。でも、みんな全然違う空間が並んでいます。
自分たち家族が何を育てたいのか、ここでどんな時間を過ごしたいのか。それを追求しています。流行なんて誰も気にしていません。
食べられるものを育てる菜園が中心だったり、咲き誇る花を育て眺めて楽しむことが中心だったり、家族で過ごす時間が中心だったり。
ちょうど家族で朝食を終えたところかな?という姿も見えました。
クラインガルテンが美しい理由
クラインガルテンのような賃貸市民農園は、ドイツだけでなく北欧にもたくさんありました。
どちらでも感じたことですが、日本の市民農園とは随分雰囲気が違うと思いませんか?広さが違いすぎるのは仕方ないとして、目に映る景色が美しいのです。日本の市民農園は、残念ながら美しいとは言えないところが多いと思います。
何が違うのか?
ここには日本の市民農園でよく見るプラスチックのコーティングがされた支柱や黒いビニールのマルチング、肥料の袋・・・そういうものが一切ないのです。プラスチックのプランターもありません。
経年変化で土に還っていく素材だけで作られているから美しいのだと思うのです。散歩をしていても気持ちがいい。
ビルの隙間のクラインガルテン
ミュンヘンのホテルの前にもクラインガルテンを見つけました。周りにはマンションやホテルが建つ都会にも存在しています。
単なる公園ではなく農園として賃貸にすることで、少しずつ分担して市民に管理してもらっているということです。緑を確保し美しく保つ良い方法ですね。
緑に触れる機会が多くなり屋外で作業する時間が増え、市民が健康になる。医療費の削減にもなる。良いことづくめなので、日本でも広がって欲しいシステムです。
まとめ
ドイツの人たちが日常で、どんなふうに緑と関わっているのか感じることができます。観光地巡りでは知り得ない、現地の人たちの暮らしに興味があるならクラインガルデンを見学するのもお勧めです。
ヘルシンキのコミュニテイーガーデンやストックホルムのコロニーガーデンもそれぞれの個性があって素敵です。比べてみるとドイツのクラインガルテンはやっぱりドイツっぽいなと感じますよ。
2019年7月訪問